【これも、コピーライターの視点_127】
<言葉の展開>
昨日、得意先から年明けに掲載となる新聞広告案がまとまったと連絡があり、見せていただきました。今年の夏くらいからずっと準備していたものです。企業の存在価値を言葉で明確化・戦略化した一つの成果です。その言葉をもとに、社内ではすでに新商品の開発やかつて「社員教育」と言われた領域のあたらしい学びの場の創造がはじまっています。この時代のコピーライターとして、一つの理想的なあり方がカタチになりつつあると言えます。
もちろん、その新聞広告には、言葉があります。その言葉は、社員一人ひとりの拠り所となり、日々の活動に展開できる言葉。生きた言葉、機能する言葉です。人は言葉に生きるとは限りませんが、それでもやはり、拠り所となる言葉を握りしめておく方が、わたしたちは生きやすいのではないかと思います。事実、その言葉を具体的に展開したのが、新商品であり、学びの場の創造につながっています。
今日・明日の仕事が回っていながらも、3年、5年、10年の先が見えない。そういう悩みから企業に呼ばれることがあります。そのとき、企業は業績がパッとしないのかというと、必ずしもそうではありません。業績が好調なうちに、次の一手を打とうとしていると言えます。では、何に違和感を持って、危機意識を抱くのかといえば、一つは、社員の働きや社内の雰囲気。もう一つは、商品やサービスの動き具合。動きが鈍る感じを覚えるのでしょうか。
言葉は概念であり、概念であるうちはそれで飯が食えるものではありませんが、その言葉をもとに、具体的に社内が動いていくと、それほど強い組織もありません。その強さが、他社との差別化要因を創り上げます。商品が動いていくようになることはもちろん、その根底には、社員のイキイキとした日常があり、ともに働きたいと人材の採用にも功を奏します。死んだ言葉か生きた言葉か。同じ言葉を軸とした経営でも、そこには天と地の差がありますが、それを見極めることができるのもまた、プロのコピーライターの仕事だと、改めて気を引き締めた次第です。
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