【これも、コピーライターの視点_138】
<人生にも経営にも哲学を>
正月の新聞で柄谷行人さんと横尾忠則さんの対談がありました。柄谷行人さんは「カントもマルクスも読まず何ができる」と言っています。そして、「教養主義を復活させようとしているのではない。現実に立ち向かうときに教養がいるのだ」と述べています。まったく同感です。
教養を超えて、わたしは哲学が必要だと思うに至っています。42歳まで生きてきて、実は人生は長いと気づき、もっと正確に言えば、哲学のない人生は長いと言えます。哲学に対するのは、小手先のテクニックやノウハウでしょう。時間感覚が忙しく、短くなってきているのが現代だと思います。そういう時代ですから、小手先バンザイ!ノウハウ大好き!も無理もありません。
ネットのつぶやきも短く。写真をサクサクあげていくことが人気で、長いややこしい文章に食らいつくゆとりも気概も薄れているように思われる時代に、あえて哲学だと言いたい。企業経営者のなかでも、ノウハウを求めて東へ西へ動き回るタイプと、ブレない哲学をお持ちのタイプとに分かれるように思われます。
2018年、わたしは哲学のある経営者とともに仕事がしたい。ノウハウや小手先のテクニックには興味がありませんので、そういうものを求める経営者のお力にはなれないと思います。哲学では飯が食えない。理念では飯が食えないと思われているなら、急がば回れの精神です。逆にノウハウを求めて右往左往するのは、安物買いの銭失いでしょうか。哲学のある人間になろうという自省を込めて、年のはじまりに。本年もよろしくお願いいたします。不確かな未来を切り拓くのに必要なのは、哲学であり、それは言葉です。