【これも、コピーライターの視点_06】
米国パロアルトにあるIDEOで
実際に為されたデザイン思考とは
どのようなものがあるのか。
「デザイン思考が世界を変える」
(ハヤカワ)から一部ご紹介。
デザイン思考の始まりは、
課題に発見/問題の設定にあります。
薬剤メーカーによると、
患者が自分の判断でなんとなく
薬の服用をやめてしまうことにより、
年間、数十億ドルの売上を逃している
という報告があるそうです。
これは、商業上の不利益だけではありません。
患者にとっても、心臓病や高血圧などの
慢性疾患の場合の服用の順守は
命にかかわることです。
また、感染症などの場合は、
患者の自己判断は、感染のリスクに直結します。
薬剤業界にとって、課題は、「順守」にあるのです。
薬の売上を見た時に、
患者の「順守」に課題を見出し、
そして、それはテレビCMなどによる啓蒙
だけでなく、
・病気について教育する
効果的な「方法をデザイン」する
・患者が支援チームのウェブサイトや
看護師のコール・センターに助けを
求められるようにする
なども「デザイン思考」。
大事なことは、
「人を、成長する存在、考える存在」
として扱うことだと書いています。
共感の物語のなかに患者を
入れてしまうのですね。
こういう着想こそ、デザイン思考の好例です。
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【これも、コピーライターの視点_05】
「デザイン」と「デザイン思考」は別。
design doingかdesign thinkingか。
doingは、デザインの教育や訓練を受けた
専門的な職能を持つ人の専売特許で、
彼らは一般的にはデザイナーと呼ばれています。
「デザイン思考」とはわたしが言わずとも、
黒川利明氏(科学技術動向研究センター 客員研究官)
によると、
イノベーションを推進するアプローチで、
2004 年ごろに米国パロアルトにある
IDEO というデザインスタジオで用いられた標語
に基づいていると言われています。
そして、2005 年に、Business Week 誌が
“design thinking”と題した特集号を発行したことで、
世界的に広く知られるようになります。
現在、デザイン思考の説明には種々ありますが、
「課題解決に取り組むためにアプローチする際のやり方」
ということに集約できそうであると、
黒川氏は整理しています。
つまり、デザイン思考とは
課題解決のアプローチなのです。
デザインとは、課題解決。
これが、言葉の本質です。
ですから、専門的なデザインスキルを持たずとも、
社長さんだって、居酒屋で意気投合したおじさんだって、
板前さんも、教師も、お母さんも、子どもも、
もちろんコピーライターだって、
課題解決に対する考えと見通しを示すことができれば、
デザイン思考をしていると言えるわけです。
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【これも、コピーライターの視点_04】
モノの売買という経済行為のなかに
自己の有用性や自社の存立価値を
いかに見出していくのか。
このことに、「正解」はありません。
妥当だと思われる考えや
精度の高い仮説にとどまる世界です。
このように、自分が考えたことを口にするのは、
勇気が必要です。
わたしは、コピーライターとしてデビューしたとき、
そのことにまっさきに気づきました。
学校で教わった学習には
常に正解があり、
正解にたどり着いたことを発表するのは
恥ずかしさはありませんが、
唯一解のない問いに対して、
「自分はこう考えます」ということを口にすることは
たいへん憚られた記憶があります。
思えば、それも、「知識・技能」の学習の
申し子みたいな話です。
思考・判断・表現の時代に入ったとは言え、
わたしたちには、自分の考えを表明する
勇気が必要です。
この場合の考えとは、仮説に近いもので、
しかも企業においては、
その突拍子もなさが時として
組織を救うことがある。
模倣する未来を失っている私たちは、
常に、仮説と検証の繰り返しが要求されます。
これを、デザイン思考という言葉で
整理することができます。
それについては、また次回。
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人事評価との連携が大事
事業の軸となる言葉が定まれば、
その言葉の方向に組織の舵を取るなら、
そこは人事評価と連動しなくてはなりません。
その場合の評価は、
方向的目標と到達目標の2つの系統が必要。
到達とは、具体的な、
できれば数値的な基準で評定すること。
営業の数値目標的なもの。
方向とは、良さの進展を見定め、
そちらに伸びていっているかを多様にとらえ、
改善を図ること。
その場合は、上司が社員の日常をよく観察し、
意味づけ、価値づけをしてやることが大事。
どの方向で意味づけ、価値づけするかは、
経営判断。言葉の力が、経営の隅々にまで
行き渡るには、そこまですることが必要。
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【言葉は変わる】
企業から発せられるどのような言葉が、
市場の共感を得るのか?
モノがなかった時代は、
「我が社は、これが作れます!」
「こんな技術を持っています!」
という、いわゆるできることを
訴求する言葉が魅力を集めていました。
その言葉を、「知識・技能の言葉」と
整理しておきましょう。
時代は変わり、
いまでは、知識・技能を
自己との関係でとらえ直し、
「生き方・あり方」とのすり合わせが
腑に落ちたときに、
人は共感を覚えて、
自分の商品、自分のサービス
という実感を持つようです。
「知識・技能の言葉」を
自己との関係でとらえ直し、
「生き方・あり方の言葉」に
変換するプロセスは、
コピーライターが水面下で
やって見せるものではなく、
そのプロセスを社員教育に生かし、
社員の思考と言葉も、
生き方・あり方へと昇華していくことが
企業体質の変化に有効。
このことが、CONERIが
事業者と二人三脚する
コミュニケーションコンサルとしての
軸にあるものです。
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