【これも、コピーライターの視点_134】
<山は動くときが来る>
昨日の「文化や商習慣は変えられるのか」
という話の続きみたいなものですが、
その問いはつまり、常識は変わるのか?
ということと同義だろうと思います。
トイレの例は、問屋飛ばしで
メーカーと消費者が直接つながる変化。
同様の動きは、農産物にも見られますね。
JAを通さないで、
生産者が直接消費者に売るスタイル。
「○○さんのお米を毎年買っている」
という消費者の登場はその一例。
わたしの友人は義歯のメーカーを経営しています。
よくゴルフをしながら話をするのですが、
入れ歯やインプラントを現在は
歯科医がメーカーにオーダーしてくれますが、
そのメーカーを患者が指定する時代が
来ないとも限らないと思っています。
だって、自分のカラダの一部になるものですよ。
患者がそのくらいのこだわりと学びを持つのは
無理のない話だと思います。
意外と業界団体に守られているのが
パーム油やトランス脂肪酸。
消費者団体が動いている記事を
目にすることもありますが、
そういうものを使っている商品の
不買運動がおこると、
商習慣は変わっていくものです。
しかし、とはいえ、食品単価との兼ね合いで
まさに、私たちの食文化の変化でしか
動きようのない問題かもしれません。
常識は変わらないと信じて、
危機対応を後回しにしていると、
気づけば時代から取り残されていた
ということになりかねません。
CONERIのコミュニケーションコンサルは
こういう問題にも鋭く切り込みます。
【これも、コピーライターの視点_133】
<ここまでが仕事>
先日、文化や商習慣を変えることが
自社の売上を支えるということを書きましたが、
それは、できるのでしょうか。
INAXがその例として挙げられます。
トイレを私たちが選ぶという習慣は、
おおよそ1980年代まではなかった。
家を建てるとなれば、
図面に「トイレ」とだけ記載があり、
あとは工務店に山積みされたトイレが
設置されるだけでした。
工務店の一括購入の商品が
あてがわれることに
わたしたちは、疑問を持たなかったのです。
INAXは、伊奈地方の製陶会社として
そのトイレを作っていた堅実で実直な
地方のメーカーでしたが、
競合するTOTOにいつも負けていた。
ブランド力でTOTOは頭一つ抜けていて、
同じ機能を持つ商品でも
常に伊奈製陶は、値引き販売。
それを解決するのに、
伊奈製陶は、理念を掲げ、
社名を変更し、ロゴマークをつくり、
東京で世界のトイレをコレクションした
トイレ展示の拠点を開設し、
わたしたちがトイレに対して
主体的になれる仕掛けをしていくのです。
銀座松屋のデパートで、
女性が座って化粧直しができる空間をトイレに設け、
トイレのイメージを変えていったのもINAX。
コミュニケーション戦略を軸に、
文化や商習慣を変えていけるのです。
言葉は、やはりその中枢にありました。
【これも、コピーライターの視点_132】
<前例のない時代にあって>
成功事例に学び、効率よく模倣することで収益を上げることができた時代は、広告屋も同じで、アメリカのアドバタイジングに倣い、そのモデルを回すことで稼ぎが立っていたように思いますが、大手広告会社の収益性に陰りが出始めていることは、いまに始まったことではありません。2000年前後には、100年以上続いた老舗広告代理店の廃業などがあり、生き残りを掛けた吸収合併もいまだに後を絶ちません。わたしたちはいま、不確かな未来を生きようとしています。
何をすれば、収益が上がるのか。企業経営者は、それを常に考え続けているように思います。どこかの誰かがやっていることにヒントはあっても、それを模倣して自社も稼ぎが立つかといえば、その保証はもはやありません。自社の強みを分析するという旧来の経営分析の方法も、有効性がないわけではないと思いますが、その成果は限定的。変わり続ける市場環境において、強みは常に過去のこととも言えます。
未来を切り拓く。今日安泰な企業も、明日は分からない。その危機意識のもと、常に思考し、学び続ける企業文化こそが、成長の源であることに違いありませんが、思考の方法が曖昧な場合が多い。考えるのではなく、宙を見つめ、ぼんやりとして、思いつきを待つ。それを思考とは言わない。昨日打ち合わせをした得意先とは、その思考の筋道を立て、体系化しようと試みました。企業経営における思考とは、最上位に育みたい社員像があり、着地点には、売上に代わる具体的な商品やサービスの開発、今日明日の具体的な行動が描けることが必須。
思考のむつかしさは、抽象度に比例すると思います。できるだけ目に見える具体的な議論が肝要ですが、どうしても抽象的な概念をさわることを避けては通れません。その抽象的な概念とは言葉であり、言葉は思考のクセや習慣から出てくるように思います。つまり、企業が不確かな未来に何とか見通しを立てようとするときに、社員の言葉の水面下にある思考のクセや習慣に切り込まなくては質の高い議論にならないということを思っています。言葉のプロであるコピーライターの力は、そこにも貢献できると考えて実践しています。
【これも、コピーライターの視点_131】
<文化の創造>
オリーブオイルの通販事業者の例。
オリーブオイルを1本でも売ろうと
通販広告を仕掛ける。
誤った戦略ではなないが、
それだけでは大きな需要は見込みづらいもの。
では、何が必要か。
オリーブオイルを日常的に使う食文化の創造が、
その水面下に広がっていなくてはならない。
そのためには、どうするのか?
例えば、そういう話が
CONERIの相談に増えてきています。
自社商品の一方には、
常に変化する時代気分というものがあり、
それがゆえに、事業者は絶えず、
コミュニケーション戦略を練り続けることが
求められるということです。
【これも、コピーライターの視点_130】
<あたらしい地平>
コピーライターがかかわると、
物事に、あたらしい地平が見えてこないといけない。
わたしは、そんなふうに考えています。
AとBという対立する意見があるときに、
AともBとも次元の違うCを見せてやること。
または、そのプロセスを
一緒に取り組んでいるのであれば、
Cを社内で主体的に導ける仕掛けを
随所に施すこと。
こうやって、あたらしい概念を創り上げることに
言葉の仕事は貢献できる。
あたらしい時代に応える
コピーライターのあり方の一つだと思っています。