玄人
具合が悪くて医者にかかると、
医者は、その原因を特定しようと、
いくつかのことを試みます。
風邪っぽいなら、
喉を見たり、聴診器で心臓や肺の音を聞いたり、
お腹を触ってみたり、
今日に至るまでのことを聞いてきたりします。
その道のプロは、
有効な補助線がいくつも引けて、
原因の特定と処方を知っている。
コピーライターも同様で、
企業の持つ言葉のどこに課題があり、
望む状態に届かないのか、
いくつかの引くべき補助線を知っていて、
対処法を具体的に導くことができます。
同じ現象を見ていても、
その道に明るい人には、
素人が見えていないものが見える。
それを玄人と言います。
「玄」とは、
奥深くて明かりの及ばない所の色。
奥深い意味を感じさせる。奥深い道理。
だそうです。
納得の漢字です。
さあ、一週間のはじまりです!
人ごみのなかでも新入社員の区別が
まだつく4月の第3週目の月曜です。
まだ会社に入ったばかりのころのわたしは、
その会社の扱う商品知識を頭に入れるのに
精いっぱいでした。
わたしは、広告営業という仕事で社会に出たので
その会社の扱う広告メディアの知識、
印刷の知識などを研修でみっちり叩き込まれ、
そんなことばかりに意識がいっていました。
そんな状態で営業に出ても、
頭にあるのは、商品のことと、売上目標の数字。
お客さまのことなんて、ちっとも考えてなかった
二十歳過ぎの自分を思い出して
笑ってしまえるのは、イマだからですね。
やはり、その商品を購入することで
お客さまの安堵や歓びが感じ取れないと
売る側としては一人前とは言えない。
同様のことは、言葉にも言えるのです。
企業理念という企業の最上位に位置づく言葉は、
自社の商品やサービスを通して
お客さまにどのような価値を創造/提供するのか
ということが言葉になったものです。
誰かの歓ぶ顔、明るい表情、やさしい気持ち、
楽しい気持ち・・・
そういうものが、自社の商品やサービスの
向こうに実感を伴って見えてくれば
その人は、その企業をある意味で
代表していると言っていいのでしょうね。
月曜のあさ、
商品やサービスの向こう側にある
お客さまの笑顔を想像しながら、
エンジンをかけていきましょうか!