コピーの勘所(課題の設定)
良いキャッチフレーズは、良い課題から生まれます。
良い課題とは。
毎年開催されているキャッチフレーズ1本勝負の「宣伝会議賞」は良い課題の例がたくさん見られます。
・お届けと受け取りの負担を軽減させる宅配ボックス「コンポライト」を選びたくなるようなアイデア(パナソニック2021)
・キャッシュレス社会で日本を元気にする広告アイデア(クレディセゾン2021)
・「大切な人を乗せています」この気持ちをラジオCMで表現してください。(コンドルタクシーグループ2007)
一見容易な課題設定に見えますが、あれも言いたい!これも言いたい!という企業の欲求を、たった1行で簡潔に表せることは、キャッチフレーズを制作する前提としてとても大切なことです。
what to sayは、この明確で簡潔な課題に対して生まれるものです。
訴求したい商品やサービスからのみ課題が生まれるとは限りません。
自社の存在意義そのものが競合他社と違うのだと自負する企業の場合は、そのあり方、哲学、思想などをテーマとして設定することもできます。
良い課題に対して、良いキャッチフレーズ、良いコミュニケーションが生まれるということです。
そして、コピーライターは、課題設定の段階から企業と関わるケースがあります。
何かの参考になれば幸いです。
<今週の動き>
【これも、コピーライターの視点_154】
ゴールデンウィークは、野球の日々。子どもは技術的なことだけではなく、精神的にも成長したように思われます。チームメイトを見ていても、できなかったことができるようになった鮮やかな瞬間に立ち会うことができて幸せでした。
今週は、月曜こそ資料作成や企画書作成の時間が日中に取れますが、火曜は朝からPTAの理事会、午後は、「地域も学校」のごあいさつに太田小学校へ。夜は国語・現代文の単科塾「OSアカデミア」の振替授業。水曜は大阪大学の研究室へ。ゼミのあとは大学3年生に向けた授業。木曜はあさから広報誌の打ち合わせ、夕方は高松市の委員会。金曜は、中央商店街活性化協議会。週末はお慶びごと。めでたい結婚式に列席させていただきます。
週の仕事を概観してみると、キャッチフレーズを制作するなどの仕事は数件程度。あとは、コピーライターの発想や言葉を活用する仕事ばかり。行政の委員会とて、行き詰まりの打開を期待されているものです。着想やアイデア勝負。どの仕事も、コピーライターの片りんをさりげなく見せたいと思います。
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【これも、コピーライターの視点_129】
<理念とか指針とか、どのようなものか>
子どもの野球チームの新体制にあたり、
理念と指針を設け、
チームづくりに役立てています。
その一部をご紹介します。
まず、スローガンを立てました。
「世界一、野球を楽しもう!」
です。楽しくやって欲しいという
単純な願いがあります。
次に理念がきます。
それは、「楽しく」ということを
噛み砕いたもの。
野球の楽しさは、出来るプレイが
増えていくこと。
しかし、チームプレイである以上、
自分一人だけができてもダメ。
そこで、
「誰一人ひとりぼっちにせず、
みんなで出来ることを
一つずつ増やしていこう」としました。
指針は、それを具体的に達成するすべ。
それは
・良さをほめあい、高めあう。
・できないことを、補いあう。
・積極的にかかわりあう。
の3つです。
これに基づき、野球ノートを通して
毎回めあてを持ち、
互いのめあてを発表しあい、
ふりかえりをして、
チーム作りをしています。
企業も組織もまったく同じ手法を活用して
成長を遂げることができます。
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【これも、コピーライターの視点_128】
<豊かな下草>
革新的な新商品や
企業経営の仕組みの変化などは、
ある日突然生まれるものではなく、
豊かな対話の環境や
思ったことを気軽に発言できる
企業文化があってこそ
ようやく芽生えるものだというのが
CONERIの仮説。
それは、2人以上集まったときの
互いの関係性であり、
既存の企業においては、
教育的なアプローチによって
変化を試みています。
成功した目を引く変革が巨木とすれば、
日々の眼に見えない変化や文化の蓄積は
下草みたいなもの。
豊かな下草とは、つまり言葉。
豊かな言語環境から生まれるというのが
CONERIの考えであり、
企業において実践している取り組みです。
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【これも、コピーライターの視点_127】
<言葉の展開>
昨日、得意先から年明けに掲載となる新聞広告案がまとまったと連絡があり、見せていただきました。今年の夏くらいからずっと準備していたものです。企業の存在価値を言葉で明確化・戦略化した一つの成果です。その言葉をもとに、社内ではすでに新商品の開発やかつて「社員教育」と言われた領域のあたらしい学びの場の創造がはじまっています。この時代のコピーライターとして、一つの理想的なあり方がカタチになりつつあると言えます。
もちろん、その新聞広告には、言葉があります。その言葉は、社員一人ひとりの拠り所となり、日々の活動に展開できる言葉。生きた言葉、機能する言葉です。人は言葉に生きるとは限りませんが、それでもやはり、拠り所となる言葉を握りしめておく方が、わたしたちは生きやすいのではないかと思います。事実、その言葉を具体的に展開したのが、新商品であり、学びの場の創造につながっています。
今日・明日の仕事が回っていながらも、3年、5年、10年の先が見えない。そういう悩みから企業に呼ばれることがあります。そのとき、企業は業績がパッとしないのかというと、必ずしもそうではありません。業績が好調なうちに、次の一手を打とうとしていると言えます。では、何に違和感を持って、危機意識を抱くのかといえば、一つは、社員の働きや社内の雰囲気。もう一つは、商品やサービスの動き具合。動きが鈍る感じを覚えるのでしょうか。
言葉は概念であり、概念であるうちはそれで飯が食えるものではありませんが、その言葉をもとに、具体的に社内が動いていくと、それほど強い組織もありません。その強さが、他社との差別化要因を創り上げます。商品が動いていくようになることはもちろん、その根底には、社員のイキイキとした日常があり、ともに働きたいと人材の採用にも功を奏します。死んだ言葉か生きた言葉か。同じ言葉を軸とした経営でも、そこには天と地の差がありますが、それを見極めることができるのもまた、プロのコピーライターの仕事だと、改めて気を引き締めた次第です。
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