【これも、コピーライターの視点_10】
コトに対するデザインではなく、
モノに対する意匠(デザイン)だって、
モノに対するデザインだって、
「課題解決」であった時代がありました。
それは、大量生産・大量消費の絶頂の時代。
モノがたくさんできると、
次は、その付加価値として「デザイン」つまり、
プロダクトデザインにおいて差別化し、付加価値をつけ、
高く売る、競合よりも選ばれやすくすることによって
販売力の課題を解決に導いたのです。
わたしの手元には、
「デザイン・ポリシー」という本があります。
(浜口隆一・中西元男著 美術出版社刊)
1964年に発行された本です。
大量生産・大量消費の真っ只中。
当時、デザインによって頭一つ突き抜けていた
企業の常連、資生堂、日本楽器、ソニーなどの事例が
並んでいます。倉敷国際ホテルというのもあります。
デザインによって烏合の衆から抜け出て
自社の存立価値を示した好例の企業群。
それは、モノにあふれた時代における
課題解決だったのですね。
そこから80年代に入り、
デザインは、「事業・企業のデザイン」
さらには「社会・文化のデザイン」へと
拡がりを見せるのです。
デザイン思考の本流が流れ始めますが、
目に見える「作品主義のデザイン」を
「デザイン」とする見方は、
いまだに根強く、
かえってそれは、デザインに対する
閉塞感と特殊性の要因になっている
のではないかと危惧しています。
閉塞感というのは、
金余りの企業が、ぜいたく品として
デザインを経営に活用できるという
偏った見方です。
デザインの本質は課題解決であれば、
すべての企業にデザイン思考は活用でき、
それこそが、たしかな未来を切り拓く。
そういう認識が、いまだにメジャーでは
ないように思われます。
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事業者とクリエイターのマッチング
コピーライターとして企画や立ち上げの上流からかかわった話には、必ずあとからデザイナーやフォトグラファ―を探して、表現の定着を図るようになる。丸投げの場合は、わたしの知っている範囲で対応しますが、自社のブランドや世界観のこだわりがきちんとあって、クリエイターの言いなりではなく、それらを理解いただきながら、二人三脚で一緒に創り上げていきたいという経営者にとって、デザイナーやフォトグラファーの感性の差異は重要。クリエイターと事業者のマッチングのプラットフォームを全国規模でつくりたいと思いながらも、大がかりなことはいまできないので、CONERIとして地道にかつ丁寧にマッチングをしている状況です。クリエイティブのセカンドオピニオンも歓迎です。
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いま
いま、「これも、コピーライターの視点」というコラムを連載している。目下の話題は「デザイン思考」。課題の発見にはじまり、適切な問題設定と解決の見通し(仮説)を立て、コピーライターがエライのは、そこから「表現」を伴い、または、わたしのやり方だと、顧客を物語の一部として、同時にともに取り組む社員も物語の一部として、巻き込んでいくことです。そこには、人への愛情ややさしさの眼があります。決算書を分析して、「じゃあ、どうしようか?」となると、方向は2つで何かを節約するか、利を生み出すか。前者は税制などにかかわるので会計士や税理士の仕事ですが、そこにも、コピーライターは(わたしは)アイデアや方向性くらいは示せる。後者は、完全にコピーライターの(わたしの)仕事。「営業して顧客を増やしましょう」と言われ、「じゃあ、何をどうやって?」「逆に営業しなくてもいい方法とは」など、コピーライターの視点で解けることは多い。すべてのコピーライターが、とは言い切れないが、少なくとも、わたしは、ということ。
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【これも、コピーライターの視点_09】
中西元男氏が、グッドデザイン賞において
デザイン思考を評価したのは、1988年のこと。
岩手県の遠隔診療システムです。
県域が広く、冬になると雪に閉ざされて
行き来もままならない環境特性を持つ
岩手県の県内主要病院を結び、
診断情報をやり取りし、
中央病院の名医が処置の判断をし、
それを離れた地域病院が処置に活かす
通信ネットワークシステムが認定されたのです。
これは、岩手県のもつ気候特性からくる
医療の課題に対して、医療システムとして
その「解決」を促した一つの事例だと言えます。
つまり、課題解決=デザイン思考です。
当時の盛り上がりをわたしは実感レベルで知りませんが、
モノに対するデザイン、
つまり作品主義のデザインから脱したことは
大きな歴史の転換点だったのではないかと想像します。
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【これも、コピーライターの視点_07】
昨日は、課題意識や問題の設定について
書きましたが、少し私たちの手元に
話題を戻してみたいと思います。
それは、言うほど簡単ではない、という認識です。
薬の売上以上に、医療制度そのものを
脅かしている問題は何か。
それは、「順守」の問題であると
誰かが「発見」しなくてはいけないし、
「発見」して「発言」しなければいけない。
それが「正解」とも分からないのに、
大方の傾向やデータを分析し
「大いなる仮説」として発言することは
多少の差はあれ、勇気が必要です。
自己肯定感が必要です。
内閣府の調査(平成26年版
子ども・若者白書(全体版)特集1自己認識 )で、
「自分に満足をしている」という質問で
日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、
フランス、スウェーデンの各国で調査した結果、
日本人がもっとも低くて45パーセントくらい。
あとの国は、低いのが韓国の70%、
アメリカでは9割の若者が
「自分に満足をしている」と回答しています。
つまり、日本の若者は諸外国と比べて、
自己を肯定的に捉えている者の割合が低く、
自分に誇りを持っている者の割合も低いと分析。
これは、「デザイン思考」のベースになる力です。
唯一解にたどり着くことを求められた教育は、
仮説や戦略、見通しといった
正解じゃないかもしれないという着想を
たしかなものにしたり、表現したりする力を
奪っていたのかもしれません。
しかし、これからの世の中は、
絶対的な正解などなく、
大いなる仮説と検証の繰り返しでしか
成長・発展しないのです。
さて、困った、と思いますか?
それとも、楽しい!と歓喜に沸きますか?
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