少しずつ感じる変化
求人情報を書くという仕事は、今も昔もコピーライターの仕事として変わらない。しかし、年々暖簾に腕押しというか、書いてても虚しさが残る。ちょっと前までは、いろんなことを犠牲にして、就職や転職を希望する組織に自分を合わせにいくことが暗黙の了解であり、そのような犠牲の上に企業と求職者のお見合いが成立した(しやすかった)のだと思う。
しかし、今は、犠牲にするのはおかしい、あれもこれも大事なんだ、という主張が通りやすい時代空気になってきた。子育てパパ、親の介護などはその一例。そんなものを犠牲して働くなんておかしいという主張を、企業はある程度聞かなくてはいけない。もっと目には見えない個人的な価値観は山ほどあると思う。多様性ですね。
企業とはこういうものだから、組織とはこういうものだから、というこれまでの価値観や常識といった類のものも、今の求職者には一つひとつ点検、検討する対象であり、納得しないと動かない時代だと感じています。当然、「俺はこうやってやってきた」と犠牲を主張し、正当化する向きも出てくる。両者の溝はおそらく一生埋まらない。どちらが正しいということもなく、そういう時代空気を感じるという話。そういう空気感を文章で伝えるのは、難しい。難しいが、やらないと企業と求職者のお見合いは、うまくいかない。うまくいかないと、企業は露出を増やす。結果、求人サイトばかりが増えて、意味のないコンテンツが宇宙に拡散されるばかりではちょっとね・・・だから。
CONERIの変遷(働き方)
創業時は高松市の郊外に事務所を設けました。当時は、出資してくださった役員の方がされていた建設業の仕事も手伝っていて、トラックなどを駐車するスペースが必要だったこともありました。そこには1年もいなかったと思います。すぐに電通の方と知り合い、こっち(高松市の中心部)に出てこないの?と言ってくださり、市役所の横の空きテナントにご縁をいただきました。
その間、香川大学から大阪大学に着任された教授に「一緒に大阪に来ていただけますか」とのお声がけをいただき、研究の世界に興味を持つようになります。論文を何本か発表させていただくご縁に恵まれました。
・例としてこのような論文を発表させていただきました。
「共感形成の視点に立った『土木』の論考」,人見訓嘉,葉健人,猪井博登,土井健司,実践政策学,Vol.4 No.2 pp.215-222,2018年12月,学術論文
大阪に頻繁に通うようになり、教えるということにも興味を持ち始め、「事務所を稼ぐスペースにしよう」「言葉の仕事という軸足をぶらさずにできることを考えよう」と発想し、これも現在の共同経営者である徳倉さんと意気投合し、国語・現代文の単科塾「OSアカデミア」を立ち上げました。仕事場はそこに移し、番町から中央町へと引っ越しました。
コロナ禍で、オンラインの打ち合わせが増え、現在は、事務所または自宅に居ながら、CONERIのほぼ全ての仕事ができるようになりました。大学院もzoomとリアルのハイブリッドが多く、わたしはzoomに甘えています。OSアカデミアの授業も、zoomとリアルのハイブリッドが増えています。オンラインとか在宅勤務というこれまでの常識を更新する出来事は、CONERIにとっては追い風となっています。
クリエイティブが自由に生かせる社会。これがCONERIの貢献したい社会です。その意味で、働き方の自由は、発想の自由に繋がっている感じもして、いろんな意味で肩の力が抜けてきた今日この頃です。
地域に愛される
わたしたちは、テレビなどでコマーシャルを見て、企業のコミュニケーションを学ぶ。これは広告を仕事としていない人でも、日常からの学びという意味ではそう言えると思います。
しかし、わたしの暮らす香川県高松市にある事業者にあっては、必ずしも大手メーカー等のやり方がそのまま模倣できるとは言えないのが実情だと言えます。
地域に愛されるには、例えば会社や店舗に行けば、気のいいスタッフがいて気持ちいい声がけがあるとか、店舗や会社周辺だけにエリア指定でお得な情報を提供しているとか、やり方はさまざま。
狙ってされているとは限りませんが、地域の集まりやPTAなどのお世話をしているなど、地域独自の文脈でコツコツと陰徳を積むことも、繁盛の一つの方法だと言えます。
当然、地域に愛されるには、漠然と全国に訴えることに比べて言葉の選び方も、語り方も違ってきます。全国という市場は数の観点からは魅力的に見えますが、根差す地域に愛されるということを徹底的に考えていくことで切り開かれる未来も明るいと思います。全国スタンダート、ワールドスタンダードを意識しながらも、足元を固めるコミュニケーションを考えてみませんか。
CONERIの興味
明けましておめでとうございます(2021)
本年も、CONERIをよろしくお願いいたします。
いまは元日の19時過ぎ。テレビで、コンビニ各社の「イチ押し」のお惣菜やパン、スイーツを一流料理人が「合格」「不合格」とやっています。コンビニの開発担当者が「合格」が出るように祈り、結果に涙しています。嬉し涙、悔し涙、悲喜交交。彼らの姿を見て、わたしは、こういう人と仕事がしたいと思いました。
気持ちを込めて、魂を込めて作ったものを、なんとか言葉で売って欲しい。そういうオファーを今年もお待ちしています。自社のアプリをスマホに入れてもらえればOKとか、ウェブをとりあえず作っておけば OKという、いわゆるデジタルの「仕組み」で売ろうとする流れがある中で、その中の言葉に期待し、魂を乗せたいと思われる方との出会いに恵まれることを希望します。
今年も、皆さまにとって、そしてCONERIにとっても最高の幸せを掴む年となりますよう。